2015/07/19

もう一人の「水道橋重工」。そしてその先にあるのは…


 芸術家と技術者の融合、一言でいえばそれが「水道橋重工」。
 青木無常でございますよ。



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 あたりまえのことなんですが、掘れば掘るほど深くなる。
 項をわけても追いつけません。

 でまあこれもいつものことなんですけど、だからどうしても駆け足での紹介になってしまう。

 足りない部分もたくさんあると思いますがどうぞご容赦を。

 もちろん、何か気づいたことがあるなら遠慮なくご指摘いただければ幸いでありますよ。



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 というわけで、本日は急展開を見せつつある“世界初”の搭乗型巨大ロボ「クラタス」を制作した水道橋重工のもう一人の主要人物、吉崎航さんについて。




  ☆巨大ロボを制御するOS


 クラタスは当初、造形作家(と単純に分類できない人物であるけどもうややこしいのでこれで統一(^_^;))の倉田光吾郎さんが「人間が搭乗できる巨大ロボット」というコンセプトのもと制作にかかったものですが。

 制御系を組み込むにあたって、ガンダムのような一部の特殊なパイロットだけが操れるものではなく、ボトムズのようにだれでもが操縦できるという条件を考えていらっしゃったらしく。

 その条件を満たす技術者として白羽の矢をあてたのが、吉崎航という人物。



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  ☆完全な「個人」制作のものだと思っていた「V-Sido」


 何度か語っている余談なんですが、私はYouTubeの「【V-Sido】赤い彗星のMSを市販機ベースでつくってみた」という動画で、たまたままったく偶然にこの吉崎さんを発見しておりました。

 動画自体は、市販のロボット(工作キットのようなものかな)に、着色したダンボールを貼りつけて自作の「ズゴック」(ガンダムに出てくるモビルスーツ)を作る、というもの。

 動画のつくりといい使用している素材がダンボールであることといい、かなり素人くさい印象の強い動画なのですが。

 後半になってびっくり仰天。

 この動画のup主は、自作の制御システムをこの市販のロボットに組み込んで、オートバランサーまで軽々と実現している始末。

 この制御システムが「V-Sido(ブシドー)」。
(正式には「V-Sido OS(ブシドー・オーエス)」なのかな)

 動画は素人臭ふんぷんとしていても、技術者としては完全に只者どころではない。







 と昂奮しまくりながらいろいろ調べてみたら、なんと!

 あの「クラタス」の制御系に、この自作のos【V-Sido】が採用されていると知ってまたまたびっくり仰天。

 動転しまくりながら作成したのが「PCと現実のロボットを連動させた動画を発見したと思ったら、思わぬところにつながっていた件!」というこのブログの過去記事でした。




  ☆個人は個人だが「産総研技術研修生」で「未踏IT人材発掘育成事業」の採択者


 「産総研技術研修生」とか「未踏IT人材発掘育成事業」とかゆわれても、正直なんのことやらよくわかりませんがね(^_^;)。

 まあとにかくこの吉崎さんというかたがYouTubeにズゴックをupなさった時点ではすでに、クラタスにも参加していたし何かのイベント(?)で優勝もしていたし経産省から「スーパークリエータ」とやらに認定されてもいたらしい。

 私がズゴックの動画を見たのはさらにそれよりずうううとあとだったので、見る目ないもいいところですな。(`▽´)







 てか、アメリカから挑戦状が出た関連で調べるまで、本当にズゴックの動画は吉崎さんが完全に素人だったころに作られたもの、と漠然と思っていた。_(_ _)_



 素人だろうと有名人だろうと技術のすばらしさには関係ないんですけど、私はだれにも知られていない才能が四畳半とかそんな感じのところで作った動画がアレだと思っていたので、発見した感動もひとしおだったんですよ。(^_^;)

 世の中そこまで劇的ではなかったのカモ…と、ちょっと落胆したので…
 勝手に落胆してスマソ。




  ☆V-Sidoの特徴


 その後株式会社V-Sidoの設立を経てソフトバンクのつくったアスラテック株式会社に迎えられる。

 現状では「V-Sido OS(ブシドー・オーエス)」を鍵として数々のロボットにその技術を提供したりしているほか、完全変形ロボットの開発にも着手しており、こちらも試作機として巨大変形ロボットが存在する模様。



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 で、クラタスにも搭載されているV-Sido OSとはどんなものかというと、その最大の特徴は

直感的操作で人型ロボットを動かせる
という点だろう。

 そしてリアルタイム演算で姿勢制御できるので、事前のモーション調整が不要。

 従来のロボット制御はその動きを技術者がちくちくちくちく細かく(0.05秒単位だとか!)調整していたらしいんだけど、それを自動でできるようにしてしまったらしい。すげえな。

 さらには。
 スマホからも操作可能というすさまじさ。



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 で、このV-Sido OSはクラタスだけでなく、最近話題の「感情認識ヒューマノイド」ロボット「Pepper(ペッパー)」にも採用されているらしい。


以上、Wikipediaの以下の各項参照:
吉崎航
アスラテック
V-Sido OS




  ☆V-Sidoとクラタスの現在


 そんなV-Sidoの開発者・吉崎さんの現状がこれまたわかりやすく語られているインタビュー記事も発見しました。


ウェブ電通報 Wednesday, December 31, 2014
V-Sido開発者・アスラテック吉崎航氏が語る プロトタイプ量産から始まる市場形成への道のり
http://dentsu-ho.com/articles/2056


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 ここにあるV-Sidoの解説もわかりやすいですね。すなわち

2足歩行ロボットのバランスを制御しつつ、マウスやジョイスティックなどを使って直感的に操作できる画期的なソフトウエア
さらに汎用性が高いことも大きな特徴である、と。

 昨日の記事で書いたクラタスの量産化とかサバゲー云々の話も、このインタビュー記事を元にしています。

 さらにはインタビュー中で吉崎さんは

クラタスの開発を起爆剤に、10代や20代の若い世代からどんどん追随する開発者が出てきて、第2、第3のクラタスが生まれてほしいとも話していましたね。
とも語っていらっしゃる。
 倉田さんがブログ
挑戦云々は後にして、その前に言いたい。
日本はなにをやってんだ、、、

こういうのは、日本の巨大ロボ同士が戦って、勝ち残ったヤツがアメリカなりに乗り込むってのが筋だろ、、、。
クラタス作ってから四年も待ってたのに、モタモタしてっからこんな事になるんだよ、、。
オレはマジで悔しい。
と語っていたのも、こういう背景というか夢があったからなんですねえ。
 なるほどなあ。
 それじゃ確かに悔しいじゃろうの。



  ☆二足歩行ロボットの開発におけるハードルを驚異的にさげるV-Sido


 そもそも吉崎さん自身が、
V-Sidoは、ロボット開発をする上での難しさを、最初から肩代わりするためのソフト
と語っているとおり、2足歩行の人型ロボット制作のハードルをさげるためというコンセプトのもと開発した、ということのようでもあり、V-Sidoが直感的につくられている根本的な理由でもあるようです。



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 インタビューアーの西嶋賴親さんによると
「2~3分操縦して分からないゲームは、二度と遊んでもらえない」
とバンダイナムコとの対談でいわれたとのことですがむべなるかな。



 以前の記事で、ロボットは二足歩行を実現するのがまず困難というようなことを私は書きました。

 だからこそ吉崎さんのズゴックの動画を見て、いとも簡単に(見えるように)オートバランスを実装してしまっているのに驚愕もしたし昂奮もさせられたわけです。

 だからこのV-Sidoが、二足歩行ロボット開発のハードルを大幅にさげるというのもものすごく理解できるし期待もできる。



  ☆人間はロボットに仕事を奪われてしまう?


 そんなV-Sidoの出現によって今後、ロボット産業が飛躍的に発展する可能性も大いに期待できる現状。

 では、ロボットに人間の仕事が奪われてしまわないか、という点なんですけど。



 目先の仕事は人間から奪われる、というのはすでに予想ではなく現実としてかなり以前から起こっている現象なのではないかと思います。

 たがこのインタビューの後編において語られる内容では、マクロな視点で楽観論が展開されます。


ウェブ電通報 Tuesday, January 20, 2015
日本はロボットが浸透しやすい国? アスラテック吉崎航氏が語るロボット産業のこれから
http://dentsu-ho.com/articles/2106


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 ごくごく乱暴にまとめてしまうと、プラスアルファのサービスも必ずあるし、ロボット産業が発展することによって新たに生まれる仕事も山のようにあるはず、ということ。



 ロボットに仕事はおっかぶせて人間は怠慢に遊んで暮らせばいいじゃないか。

 という未来を提唱(^_^;)する私にとってはあまりうれしい未来予測ではありませんが(^_^;)。



 まあ重機のようなもの(それこそクラタスの延長上でもあるな、これは)そのものをロボットとして完全自動化という未来もあるけど、その過渡期として既存の重機を等身大人型ロボットに操縦させる、という選択肢もあげられていますね。

 重機自体の改造にかかるコストを問題視する、という流れで論じられているけど、このへんはちょいと疑問がわくかな。



 中古品なんざどんどんどんどん時代遅れになって次々に新しいものに置き換わっていくのが加速する一方の現代の世の中の現状だと激しく思ってるんで。



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 そんな古い危険なものを大事に使わないで、新しいものをどんどんどんどんご活用ください、てな感じでね。



 実際、十年前のPCなんざ使えねえわけだし。



  ☆そしてロボットの未来


 さしあたりロボットの市場は個人ではなく組織相手に浸透していくのではないか、とインタビューはつづき、日本人は新しいものには簡単にとびつかないけどロボットは漫画やアニメで親しんでいるから世界に先駆けて日常に浸透するとくる。

 ここらあたりも実際どうなるのかは、よくわかりません。



 で、最終的に当たり前のようにロボットがわれわれの日常に浸透していることが目標である、というような旨の希望(ビジョン?)で項は結ばれる。



  ☆さらにもうひとつの“未来”


 ひとつ残念な点。

 ハッキングなんかにも言及されていますが、ロボットが人間を「侵略する」という命題は軽く流されて終わってしまっている。

 そこまでいくともう内容が当初の想定から大きく逸脱してしまうのは間違いありませんがね。







 そしてこれは実際どうなるのかも、わしらが生きているうちに目にすることができるかどうか。(^_^;)

 ロボットが反乱を起こすには、いかなる段階でロボットに(というか、ソフトウェアに?)自意識が生成されるか、という点にかかっているのではないかと個人的には想像している。

 自意識が芽生え。
 自分に「人権」に相当するものがあると自覚し。
 人間はロボットを差別し虐げていると認識しなければ。

 反乱も起こりようがないのではないかとは思うので、それが自然発生的に(もちろん人工的に、でもかまわないんだけど)どのようにして発生するのか、し得るのか。

 そこらあたりに焦点があるのではないか、と。



 現時点では(それこそPepperとかが)擬似的に感情をプログラムする段階からどれくらい脱しているのか見当もつきませんけど。

 人間がそれをつくることができるのか。

 あるいは、それは自然発生的に、どこかからわいて出てくるものなのか。
 それこそ、ボウフラか何かのように。
 いや、マジメな話ですよ。( ̄ー ̄)



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 もうすでに、ネットワークの中の「どこか」で。

 それは発生しているのではないか…と、これは私の空想の話。
 …現時点では。ね。( ̄ー ̄)



 そもそも意識とは何かとか自意識とは何かとかいう話になるともう、ちょいと手に負えなくなってしまいますかね(^_^;)。

 以前書いた「おじろく・おばさ」のようなおぞましい実話の根底にひそむ、自意識とは近代に発明された後天的なものなのではないかという疑問にもつながるかな。



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 このあたりは今回紹介した「ロボットのサバイバルゲーム」にいきつく楽しい近未来とは似ても似つかぬ着地点になってしまうし、そろそろやめにしておきましょうか。(^_^;)



  ☆どこまで目撃できるのか楽しみな明日


 まあロボットチームがワールドカップで人間を負かす日がくるのは、まだまだ遠い先のような気も濃厚にしますけど、V-SIDOやクラタスや、そのほかのあらゆる研究が前進する先に、それはきっと待っている。

 そして、バカとしか思えない今回の、子どものようなアメリカの挑戦というムーヴだって、まちがいなくそこにつながっている。







 残り少ないわしらの余生で。

 そのどれくらいを目撃できるのか楽しみにしつつ、この項を閉じさせていただきたいと思います。



 明日はどっちだ? 本日は以上。
 最後まで読んでくれてありがとう。
 それでは、また~(^_^)/~~






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