2015/01/21

【追悼】あの『幻魔大戦』を完結させないまま、平井和正もとうとう…※追記あり(『幻魔大戦』は完結しています)


※『幻魔大戦』は完結しているとの情報があったため追記しました。

もう訃報はたくさんです…(´_`。)
青木無常でございますん…(´_`。)

たくさんですが、増えることはあっても
減ることはないんでありましょうねえ…
世の常とはいえ、どうにも…


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オリコン  2015-01-18 19:51
『8マン』原作の平井和正さん死去 76歳
http://www.oricon.co.jp/news/2047384/


まあ正直な話、幻魔シリーズが完結するとは
まったく思ってもいなかったですけどね。

よい機会なので、かつて熱狂し、そしてついていけずに
読破を放棄した異端にして異形の作品である
「幻魔」シリーズについてつらつら語りつつ、
大いなる巨匠の足跡の一端にでもふれられたら…ということで。



幻魔シリーズとは、稀代の小説家平井和正と、
これまた稀代の漫画家石森章太郎とがタッグを組んで
語られ始め、そして円満に袂をわかちつつ、
それぞれが独自に改めて新しく展開し始めた物語。

石森章太郎先生の筆になる漫画版は長くはつづかなかったものの、
平井和正先生の筆致は踊りまくって大量の派生作品・
関連作品を次々にシリーズ化していき…

そして熱狂と失望をくりかえしつつ、
すべて未完に終わることとなりました。

※2015年8月23日追記:
「幻魔大戦はトルテックで一応完結」しているという情報をコメント欄にていただいたため、訂正します。

 調べてみたところ、この記事を書く時点に参照していたはずのWikipediaにも

幻魔大戦deep トルテック(e文庫より単行本化2008年初出。幻魔大戦deepの続編。「幻魔大戦40年の集大成 巨匠畢竟の最終回答」とケースカバーに記されている。またe文庫は「幻魔大戦は、『幻魔大戦deepトルテック』で完結しています。」とツイートしている
 という文言が明記してありました。
 どうせ完結していないんだろうという思い込みで不正確な記載をしてしまいました。
 申し訳ありませんでした。

 記事内容の訂正も考えましたが自戒の意味もこめてそのまま残しておきます。
 ご了承のほどお願いいたします。

『幻魔大戦deep トルテック』という作品は複線が全部回収されているわけではないそうですが、「コミック版から続く因縁の戦いの決着」はついているとのことなので、俄然読んでみたい気になっています。
 読了のあかつきにはまたここで報告したいと思います。

 また七月鏡一先生・早瀬マサト先生による『幻魔大戦 Rebirth』という作品も現在進行中という情報もいただいており、伏線の回収も期待できそうです。

 貴重な情報をありがとうございました。
 つつしんで訂正・追記させていただきます。_(_ _)_

以上追記



今回の訃報に際し、両先生とも帰らぬ人となることにより、
その物語もまた永久に途絶…まことにもって
残念至極であります。



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すべての発端である石森章太郎先生との作品
『幻魔大戦』。

それは、地球滅亡の物語でありました。

幻魔という、人類に敵対的な謎の超存在の侵攻に対抗し
主人公をはじめとする世界各国から集った超能力戦士たちが
時空を超えて熾烈な戦いを展開する、というのがその骨子。

終盤はあまりにも強大すぎる幻魔の猛攻に
滅亡寸前となってしまう地球。

そんな地球に向けて、どくろのような模様が刻印された
月が大接近するという衝撃的なシーンで物語は幕を閉じました。
迎え打つのか立ち尽くすのか、歯をかみしめて
肉薄する月の異容を見つめるばかりの超能力戦士たち…

…という、ラストシーンもこれまた
甚だフラストレーションにみちみちていて。


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これは人類の敗北を暗示している、という見方もあるようです。

まあ、当事の読者にとってはもう、
「それからどうなったんだ!?」という以外の
なにものでもない壮大かつ中途半端な幕引き!
(^_^;)



それを補完する形で角川書店から刊行されたのが
平井和正先生みずから執筆する小説版『幻魔大戦』。

これはもう、歓喜以外のなにものもありませんでしたね。
あの幻魔ワールドが結局どうなったのかが、いよいよ
開示されるのか! と。

欣喜雀躍して本を手にとったものであります。

ところが! (^_^;) こちらも物語途中から、
主人公が新興宗教を思わせるカリスマと化して
それこそ布教活動をも連想させる周囲の人間の教化活動を
開始してしまい、しかもその中途で失踪。

そして物語は主人公不在のまま、現実の続きを追い始め…

あまりスケール感のないライバル、というよりは
単なる小悪党じみた人物が物語の中心になってしまう。

…という(^_^;)。
一応刊行された分はすべて読みましたが、
完結とはほど遠い中途半端さで、中断してしまいました。



その後、このストーリーラインの直接の続編である『ハルマゲドン』という
作品も刊行されたらしいのですが、さすがにここまでは追っていません。

まあ調べてみる限り、やはり中途半端な小悪党が
そのまま物語にいすわった感じで、それもやはり
中途半端な形で中断されたままのようです。

また『ハルマゲドンの少女』という『ハルマゲドン』の
後日譚らしき作品もあるのですが、こちらも未読。

これは上記二作品と『真幻魔大戦』を橋渡しする作品らしく
紆余曲折はあるものの最終的には漫画版の『幻魔大戦』と
同じように結末に至る模様ですが…実際はどうなのか。


黙示録(素材使用)



そして『真幻魔大戦』。
石森章太郎の承諾を得て平井和正が独自の作品として、
そしてライフワークとして着手した作品でしたが、
こちらももちろん未完。

作品としては『幻魔大戦』とはちがう歴史を歩んだ
パラレルワールドとして語られていました。

世界は『幻魔大戦』で滅亡したはずの時点を無事に
通過し、平和につづいてはいたものの、そこにも
より周到な形で幻魔の侵攻はつづけられていることが
暗示された物語でした。

登場人物たちは『幻魔大戦』よりも大人になった
形で現れ、やはり幻魔の侵攻に対峙することとなり、
やがて滅亡した世界の記憶を取り戻し…

…と、やはり新興宗教めいた団体や
記述は多々見られるものの『幻魔大戦』よりは
アクション多めの展開でしたが、これまた物語途中で
主人公が失踪(^_^;)。またかよ! (^_^;)

その直前の記述は、いよいよ大敵との本格的な
闘争が描かれそうな勢いであったのですが…

平井和正、実は無意識に失踪したいという願望があって
それが狂おしく作品に反映してしまっているんじゃないか!?
的な邪推まみれのツッコミを入れつつ続きを読むと…

主人公の秘書の女性が物語をひきつぎ、
過去の日本に! つづいて超古代の“ムウ”に!

そしてついには獣人が支配するイミフな帝国に! と、
次々に舞台を(そして時代、あるいは次元? すらも)
かえたあげく、やっぱり中断。おいおい! 平井先生!



順番としては『幻魔大戦』『真幻魔大戦』が
ほぼ同時進行だったため、この二作はどうにか
最後まで読みましたが…

さすがにそれに続く膨大な(そしてどれも未完の)
シリーズにはあまり食指が動きませんでした。

正直にいえば、またどうせ途中で中断するんだろ。

一言でいうと、そうい不信感が色濃くあったため。
事実がどうかは知りませんが、私の印象では
平井和正という作家自身が、きわめて飽きっぽい性格、
という評価に落ちついてしまっていたこともあり。



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平井先生のもうひとつの代表作である「ウルフガイ」
シリーズも、やはりシリーズとしてはとんでもなく
中途半端な形で中断していますしね。



断っておきますが、これらのシリーズも、
そしておそらくは大半のほかのどの作品も、
おもしろさは群を抜いている。高いリーダビリティを
誇る、稀有の大作家であることは論を待ちません。

彼の描く迫真の感情描写、とりわけ
憎悪や怒りや憤りといった、すさまじい
情念・怨念の波状攻撃といったら、それはもう…!


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延々とつづく怨嗟の叫びの描写は
読んでいるさなかにさえ「もう勘弁してくれ」と
叫び出したくなるような執拗さでくりかえされながら、
読み始めたら苦痛に思いながらも本をおくことあたわず。

物語に鼻ヅラひきずりまわされる苦痛。
もちろん、それは快感でもあるわけです。

ただまあ、その苦痛があまりにも定番と
化していたこともあり、完結のカタルシスには
ほど遠い地点で中断したまま次々に新しいシリーズ
(しかも大体未完)が刊行されまくるにあたって。

とてもじゃないがつきあい切れない、というのが
正直なところで、あとを追うのも中断してしまいました。



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↑このシリーズは完結してます。すばらしい作品ですよ。(^_^)




完結したのなら、また挑戦してみようという
気にもなるのではないか…そういうある種の
“期待”も、わずかながらおぼろげに感じては
いたのですが…



やはり。

といってしまうには、あまりにも残念でならない。
これを機にもう一度、という気にもいまひとつ…
だからこそ、むしろこの訃報にふれることにより、
やはり完結させてほしかった、という想いがますますつのる。



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さて。

この記事は追悼として書いているのは間違いない。
ただし、黙祷のみにて終わらせるには留まらない要素も
小さくはあるが個人的に発見しております。

上記ニュースサイトにはその最終段に

1992年には『地球樹の女神』を完結させた。
なる記述がある。

二十年以上もまえのトピックではあるが、
私は知りませんでした(^_^;)。

実は『地球樹の女神』は途中まで読んでいる。


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ラスト・ハルマゲドン・ストーリーと
銘打たれていたため、幻魔と何か関係があるのか
という想いで読み始めた物語です。

「幻魔」シリーズや「ウルフガイ」シリーズが
宗教じみた説教臭と迫力はあるものの読んでいて
疲れる一方の壮絶な情念描写にあふれ返ってしまい、
おもしろくはあるが辟易もさせられる、という…

ある種背反した印象のため追いつづけるのが困難に
なってしまったのとは異なり、この『地球樹の女神』は
かなり痛快な印象があった。

改竄事件を機にやはり中断されたまま、その後刊行されたという
続きには私は触れる機会もなく今日まできていたわけですが…


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植物と交感できる不思議なヒロインの少女と
超問題児にして裏から情報企業を操り
世界支配を目論む中学生の少年(!)という
きわめて独特の登場人物がおりなす痛快活劇。

それが私の抱いている『地球樹の女神』への
印象であります。



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完結しているのならば。

追悼の意もこめつつ、手をのばしても
いいんじゃないだろうか…

…というところまでは、きている。

これは最近の私にしては
きわめて珍しい心境であります。
まあ…そこから先に進むかどうかは、
もうひとつふたつ、きっかけが必要そうですが(^_^;)。



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…まあこれで「完結」とは言葉ばかりの
中途半端な閉じかたであったりした日にゃあ、
目もあてらんねえしな。(`▽´)

そういう惧も少なからず、否、大いに考えられる
作家でもありますからね、平井和正先生は。
ただ、その危惧をも踏まえつつ、改めて
トライしてみるに充分以上の意味も、ある。

それだけの資質と内実をもった、すさまじい
巨匠である…あったことは、まちがえようのない事実。
…でも、ありますから。



巨星の逝去に、心よりの追悼を表しつつ。




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