2014/08/05

伝えない恋 - 「メリア 20」あらすじとレビュー(内田祭り第三弾)


本日も内田眞由美の『言えない恋心』から。
青木無常でございますよ。


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言えない恋心』の二編め「メリア 20」の
あらすじ及びレビューです。



もちろん前回同様
ネタバレ部分もそのまま記載してます。
未読かつ読む予定のある場合は以下は
読まないで下さいね。よろしく。


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   「メリア 20」ネタバレあらすじ



 槙さんは、ある番組のメイクで顔がきれいな男性。
 以前、緊張をほぐしてくれたことがあり、メリアの心に深く残っている。

 槙さんは話をきいてくれるし、否定をしない。
 話をきいてくれたあと、それに対して思うことを伝え、最後は自分で決めなさいという。

 そんな槙さんに、メリアは恋心を抱いている。



 マネージャーの谷崎は、以前のアイドルグループの名残を大切にしたい、という思いが強いらしく、タレント志望のメリアとはそりがあわないように感じていた。



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 そんなメリアへの、槙さんの言葉は「自由にはなれない」だった。



 槙さんへの気持ちが恋だと自覚しても、既婚者であることは知っているし、そこに割り込むつもりもメリアにはない。だから、

だけどこれが恋だと気づいても嬉しい気持ちにはなれない。ただ、切なかった。

 そして今日、収録を終えたメリアは、槙さんからほめられる。



 話題は、マネージャーの谷崎のことにも及ぶ。谷崎もまた、今日の出来を評価してくれていたらしい。

 メリアにとって谷崎は、ほめてくれることはあまりなく、いつも厳しい存在でしかなかった。

 だが、そんな谷崎がだれよりもメリアのことを見ていてくれているのだということを、槙さんの言葉から知る。



 今日の収録を見て、谷崎はメリアもタレントとしてやっていける実力をつけていることを実感したらしく、メリアの希望について事務所に相談することにしたらしい。



 メリアは今まで知らなかったマネージャーの思いに驚きつつ「槙さんがいるから頑張れる」と、思いの一端だけを伝える。


――以上「メリア 20」ネタバレあらすじ



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私の抽出のしかたが悪い部分もあろうが、
本作はボリューム不足・構成不足の感がぬぐえない。

もちろん槙さんへの思いや状況などは過不足はない。

あらすじとして抜き書きしようがないので
そのあたりのよさは充分に伝えきれないもどかしさが
あるが、読後感も全体的にはきわめてよい。

告白するつもりのない恋心を抱きながら
すっきりと割り切った仕事仲間としての関係のみに
終始しそこから逸脱する気のないメリアのありかたには
大いに共感できるしあっさりとした流れ・終わりかたもむしろいい。



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問題はマネージャーの谷崎の扱い。

物語全体がほぼ槙さんとのふれあいのみで
構成されているのはいい。

…のだが、余分、というより蛇足のように
谷崎のエピソードがさしはさまれる部分が
あまりにもアンバランス。

厳格一辺倒だったマネージャーが実は
主人公自身の最大の味方であり理解者だった…

という隠されていた事実の開示がむしろ蛇足。

物語としては王道なだけに、話が発展することなく
中途半端に言及されただけの腰砕けな構成に堕してしまっている。

王道展開としては槙さんと谷崎とのあいだに
恋心のゆらぎが発生しそこにスポットをあてていく、
というあたりだろうがこれがこの物語に
必要、という気は毛頭ない。

むしろそんな形にしてしまうと、
構成としては正解でも、物語全体に流れる
淡い想いのよさが台無しになるだろうことは明白。

だから谷崎を恋愛にからめなかったのはもちろんOK。
これ以外の構成はあり得なかっただろう。



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しかし谷崎はあくまで添えもの扱い以上に
なり得ていない部分が、どうしても邪魔にしか
なっていない原因でもある。

槙さんへの想いがつづられている中に
きわめてアンバランスに谷崎の真情への言及が
出現してしまうあたりも流れを阻害する働きばかりが
目立ってしまっている。



口うるさい管理者とばかり思っていたマネージャーが
実は自分のことを理解してくれていた…

という意外感だけは効いている。
だからこそ、それだけに。
構成のアンバランスさが際立ってしまっている。



だからどう構成しろ、というアイディアは
残念ながら私にも浮かばない。自分なら
谷崎のことは完全にカットして、別の物語として
ストックするだろう、という程度しか思いつかない。



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谷崎の件がなくなれば、物語としての起伏が
かなりうしなわれてしまうのは確かだ。

だが、それでも問題はないと思う。

むしろこの短編の肝は主人公が
心のなかだけに留める決意をしている
槙さんへの想いそのもの。それ以外にはないし、
それ以外には必要もない。

その部分はきわめて巧みに描写しきっている以上、
谷崎の部分は思い切って割愛すべきであったと思う。

どうしても入れこみたかったのなら
迎えにきた谷崎とのやりとりを必要充分なだけさりげなく描く、など、
以前とは微妙に関係や雰囲気が変化した描写をもっと
どうにかしてさしはさむべき。

現状では蛇足以外のなにものでもない。



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読後のものたりなさを懼れての挿入であれば
ボリューム不足の感はどうしても否めない。

読後「え? これで終わりか…」という感想は
たしかに存在はした。

が、短編集であるという性質上からも、
そういう一編は存在して問題ないし、
改めてこうして書き出してみると
むしろ(谷崎の件がなければ)充分とすら思える。



思い切りがたりなかったな。(`▽´)



というわけで、本日は以上。
最後まで読んでくれてありがとう。
それでは、また~(^_^)/~~


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