2013/09/01

小林香菜にささぐ


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それは、かける言葉ではなく
伝えるべき想いでもない。



「ウドちゃんカナちゃん お悩み相談本舗」
で、ウド鈴木さんと小林が
メインMCに抜擢されたときは、
すなおにうれしかった。

天然ボケ二乗の危うさが産む、
答えにもなっていない“お悩み相談”は、
不思議なことに土曜の午後のけだるい時間帯にマッチして
意図されないシャープさを隠し味にした
奇妙な安穏さをただよわせてもいた。

だけど、MXで月一回の放送は
おおきな飛躍につながることもなく
6回のオンエアを経て、幕を引くこととなる。



小林の代表曲といえば、
「くるくるぱー」で異論はなかろう。

凶悪きわまるタイトルに似ず、
何も考えていないことを礼賛し奨励するこの楽曲は
王様のかっこうをしてネギを手に
楽しそうにステージを闊歩する小林を
もっとも輝かせる楽曲であることにまちがいはない。



だが世界は、ひとに、能天気なだけでは
進みつづけられない瞬間を投げつける。



おれは、勝っているヤツに興味はわかない。

負けているヤツを応援したい。

だから、おれに応援されている状態は
けっしてよい状態ではないだろう。

だから、おれに興味をなくされる時がくることが、
もっとも望ましいことなのかも、
しれない。



笑いながら、前を向いて、ただただ自分を信じて。
疑うことも知らずに、進みつづけることができるなら。

だが。

勝ちつづけているヤツらが、どれだけいる?

ポジティブに、後ろを向かずに、
うつむくことなく、頬杖もつかぬまま、
ただただ勝ちつづけていくことのできるヤツらは。

前向きに、ただただ自分を信じて
突き進めばいい、突き進むべきだと
軽い口調で吐き捨てて
信じて疑いすらしないけど。



そんなヤツら。
この世の中に、どれだけいる?

そんなヤツらの踏みつける下で、
負けつづけ、うつむきつづけ、
どうしても壁をこえることができずに、
あきらめ、すねてしまったヤツらが、どれだけいる?

負けつづけながら、世界という重荷を
その背中に受けて、腰をおり、汗水涙を垂れ流しながら
ただただ歩きつづけている、おまえらが。



卒業していく秋元才加への想いをつづった
小林香菜のブログ記事には
小林自身の、迷いの吐露が、
切々と刻みこまれている。

自由奔放で、いつでも飄々としていた小林もまた、
先輩であること、後輩を教え導く立場であることを
要求されるようになったことがつづられている。

7年半ものあいだ、積み重ねてきた経験は
たしかに有益だし、それを
後につづくものたちに伝えていくのもまた
先達の義務であることはたしかだろう。



でも、それが小林に、それまでは背負う必要のなかった
重荷を背負わないわけにはいかなくなっていったことが。
ブログのなかでは、くりかえし語られている。

それは、たとえば苦しみばかりであったとは
傍観者であるおれですら、思いたくはない。



むかしの、自由だった小林香菜。
先輩として、後輩を指導していくべき小林香菜。
背反する期待と要求が、
彼女をまどわせている様子も見てとれる。

すべてのひとびとの、希望をかなえることは、
もちろん、できることではないけれど。

あるいは、表舞台には立たず、
後輩を盛り立てる役割を求める人間も、
もしかしたらいるのかもしれない。

そんななかで、小林は、輝きつづけていられるのか。

現場におもむかないおれには、
わかるはずもないけれど。



ひとは、子どものままではいられない。

ひとは、大人として成長していかなければ
ならない。

そんなことを、したり顔で吐き散らすヤツらこそ、
成長しきれない愚かものにしか、
おれには思えない。

それでもやはり、
自由奔放なだけでは、いられない時がくる。



出口が見えず、光すら当たらない場所に
ふと、たたずんでいる自分に気づいた時。
おれたちは、途方にくれる以外に
なにひとつ、できることを見出せなくもなる。

そんな時に吐く弱音を
後ろ向きとそしる人でなしの言葉に
耳を傾けるな。



弱音を吐き、くじけてしまえばいい。
後ろを向いて、下うつむいて。
なぜ自分は負けてしまうのかと。
力なくつぶやけばいい。



そんな、負け犬たちが支えているから
世界は美しいのだ。

そんな、負け犬たちが泣きながら、
歯を食いしばって、重荷を運びつづけているために、
世界は、
美しいのだから。



だけど、
忘れるな。

弱音を吐くのも、
うつむき
ひざを抱えてすわりこんでしまうのも。



もういちど、
立ち上がるための時間だから。



忘れるな。

そうして、すねて、うつむいているうちに、
おまえらの中には、力が蓄積していることを。
凶暴で、熱く、危険きわまりない、
力が、蓄積しつづけていることを。

そして、顔をあげたとき、
そこにおまえを拒みつづけてきた世界の姿が
きっと見えてくるだろう。

その世界に向けて、
蓄積した力を解き放つために。

問いかけるかたちを、変化させろ。



なぜ自分は負けてしまうのか、ではなく。

どうすれば、自分は勝てるのか、と。



そして、自分のもつ武器に、想いをはせろ。



負けつづけ、泣きながら
うつむいてきたすべての想いも、
おまえらの武器だ。

おまえらが、かつて抱いていた夢も。
中身のない、闇雲な希望も。
愚かしい妄迷も。

そして、中身がないために
世界から突きつけられた、拒否と嘲笑も。

そのときに打ちのめされた無力感も。

怒りも、切なさも、あきらめも、
それでもなくしきれない、愚かな、
愚かな希望も。

すべて、おまえらの武器だ!

すべて、おまえらの武器にして、
もういちど。
何度でも。

立ち上がれ。

戦え。



いつかきっと。
真に、敗北するときがくるかもしれない。
でも、歯を食いしばり、狂猛な力を武器にして
戦いつづけている限り。

おまえらは、負けていない。



届かない明日に。
のばしつづけろ、手を。



小林香菜だけでなく。

すべての、負けているてめえらに。



見果てぬ夢を、みる魔法。






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